カルティエ展を少し紹介いたします。

左右対称の構造をなす表慶館をうまく活かして、建物右側ではメゾンカルティエを象徴するジュエリー作品や美術作品を、左側ではカルティエ現代美術財団が所蔵・展示してきたアーティストの作品を紹介しています。

アーティストである澁谷翔さんがカルティエから依頼され制作した「日本五十空景」がエントランス吹き抜け部分で迎えます。35日間にわたり日本全国を旅して描かれた絵画50点の連作です。

歌川広重の「東海道五十三次之内」にオマージュを捧げた作品で、描かれているのは名所ではなく「空」です。明け方の空、月の空や夕方の空などが描かれています。

「藤」のモチーフをブローチに昇華した作品と杉本博司さんが制作した「春日大社藤棚図屏風」が展示されカルティエと日本の歴史が共鳴しているような空間を演出しています。

タンク100周年の2017年に、カルティエが香取慎吾さんに制作を依頼した作品も展示されています。メゾンカルティエの象徴的な腕時計であるタンクウォッチのデザイン要素を画面いっぱいに、時間に追われる現代人を表現しています。

カルティエ現代美術財団はアーティストに制作を依頼してコレクションをするなど、日本で数多くのプロジェクトを展開してきました。28名のアーティスト、50周年を記念してカルティエが制作を依頼した新たな50作品を含む150点以上の作品が展示されており素晴らしい現代アート展になっています。

カルティエと日本の文化・芸術との相性の良さが随所に感じられました。