銀座で高級チョコレート店を開業した先駆けである「ピエール マルコリーニ」

ベルギー王室御用達の高級革製品ブランドを扱っていた（株）キャンディーが母体で誕生しました。

「ベルギーに、将来展望のある若いショコラティエがいる」と駐日ベルギー王国大使に紹介されたのがきっかけです。

その時ピエールマルコリーニの初めて食べたチョコレートに感動して、まったく畑違いの業態の会社が日本での展開を決断するのです。

（株）THE CREAM OF THE CROP AND COMPANYという会社で事業をスタートさせます。

自分のためにチョコレートを買うような、食に感度の高い大人の客層がいるエリアで勝負したいと、出店場所を銀座に絞って2001年12月、ワンフロア10坪の4階建ての物件からスタートさせるのです。

洋菓子業界のチョコレート業態は、1998年に「ピエール・エルメ・パリ」「メゾン・デュ・ショコラ」が初出店を果たし、1999年には、日本人ショコラティエの先駆け土屋公二の「テオブロマ」、2002年には「ジャン=ポール・エヴァン」が新宿伊勢丹に日本1号店をオープン、日本最大のチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」がスタートします。この時から日本での高級チョコレートブームが巻き起こっていくのです。

ベルギーの若手ショコラティエが銀座に初上陸、しかも本国にもないチョコレート専門のカフェも併設とあって、ピエール マルコリーニは開業当初から大きな注目を集めます。カフェは縦長の物件だったためスペースがあり併設したのです。運営会社は高級ファッション業界であり、洋菓子や飲食事業自体が初めてでしたが、ファッション系プレスが紹介するなどでスタート時から注目されるのです。ピエール マルコリーニの成功は、チョコレートそのもののポテンシャルの高さはもちろん、カフェを併設したことや洋菓子業界とはまったく違う業態が手掛けたことが大きかったのです。

さらにショコラティエとしてだけでなく、グラシエ（アイスクリーム職人）のディプロマをもつピエールマルコリーニのアイスクリームが人気になります。日常的にチョコレートを食する文化のない日本で、チョコレートに関連したアイスや焼き菓子を積極的に取り入れたため年間を通じて人気店として事業を安定させるのです。

チョコレート業界の年間で最大の売上を記録するバレンタインシーズンは、毎年新作をピエールマルコリーニに開発してもらい、特別感のあるパッケージを日本で作成して、日本のバレンタインギフト需要に合った商品を展開しています。わたしも毎年買っていてケースを大事にしています💦

また全国の百貨店などで行なわれる催事にも積極的に出店し、ピエールマルコリーニが来日してファンにサインも行なったりしています。

ピエール マルコリーニが出店した西五番街通りには、その後海外のチョコレートブランドの出店が相次ぎ、「銀座ショコラストリート」と呼ばれましたが、現在ではほとんど残っていません。数ヵ月で閉店したり、日本から撤退してしまったブランドも多く、バレンタインなど催事のみでの展開になってしまうブランドも少なくありません。本国では高く評価されているチョコレート店であっても、日本で長く商売を続けるのは本当に難しいことなのです。

ケーキやスイーツを日常的に食べることはあっても高級チョコレートは日本の文化になかなか根付かないのですね。

2021年に事業を引き継ぎ、PIERRE MARCOLINI JAPANを新たに設立してベルギーのブリュッセルに構える本社とより密な連携を行える体制で、更なる進化をしていくのでしょう。

日本最大級の高島屋のバレンタイン催事「アムール・デュ・ショコラ」

JR名古屋高島屋は、2024年の売上高が過去最高の40億円に達し日本一の売上高となっています。翌年のバレンタイン商戦は夏が本番ですので、バイヤーは大変ですね。